街路となる中庭型狭小住宅 - 背壁の家 都市という市街地の中で、建築をいかにつくるか…に興味がある。 周辺の環境や与えられた条件の中で採りうる最小限の表現、手段、方法からのみ得られる最大限の豊かさ、何らかの可能性や空気が感じられる空間、場づくりに力を注いでいきたいと思う。 そして、建築が現在の都市の中で、どのような接点を見いだせるのかを探りたい。背壁はそんな接点でもある。それはイメージであり、古い遺跡のように形として残っていくものでもない。 都市の中に蓄積された不変なるもののイメージであり、わたしの中の堅いよりどころである。 中庭はむしろ取り込まれた街路の場所ともいうべきか。その中庭と住居内部との接点、そこに背壁が立つ。 背壁はひと続きの長い壁で白く塗られるが、建物の部分や日差しや人々の姿がさまざまに影を落とし、また消えるその色である。 |