住環境を変えるリノベーションとコンバージョン
既存の住まいをリフォームする場合に、表面の仕上げを変えたり修理をするだけではなく、どうせするならリノベーション(刷新)をお勧めします。
建て直すほどではない場合や、住空間、住環境の改善を目指す場合にリノベーションとなります。
例えば、部屋数は多いのだが、風通しが悪くて暗い時には思い切って減築をして、住空間の改善のためには中庭を設けて光や風を取り入れながらその庭の外部空間と共有できるようなリビング・ダイニングに大改装する場合です。
いがいと既存の間取りを整理して、一つ中庭的な要素を取り込む事によって住まいが生き返って来ます。
また、旧家を大胆に改装して古い柱や梁を利用しつつも、設備を一新して古い面影を残しつつ、土間のある家やシンプルな和モダンな家づくりに再生することが可能です。
写真は兵庫県下では姫路城より古いといわれる、由緒ある築500年の旧家をリノベーションしたものです。
古い梁の古材を生かしながら中庭と繋がり、魅力的な和モダンの「土間のある家」へと甦りました。
一般的には、全面改築する場合には新築を建てる場合のおおよそ2/3の費用ですみます。
何をするかと言えば、既存の基礎と構造の骨組みを使って間取りも変更しつつ新築同様にします。とうぜん設備なども一新すればいいのですが、仕上げや設備の仕様によってはコストが上下しますので、どこまでするのかは予算次第となります。
建てられた築年数にもよりますが、間取りの変更する場合や増築の場合には、基礎や骨組みなどの構造にあたる部分も補強していきます。骨組みなどの構造や、コンクリートの基礎を再利用することは,地球環境にもやさしい考えと思います。サスティナブル建築とはこのような考えのことで、エネルギーを少しでも抑え持続可能な建築として環境に対する負荷を少しでも減らそうとする考え方です。
なかには、用途を変更する場合はコンバージョン(変換,転換)と呼ばれています。
この場合は既存の見慣れた建物が別の用途に変わってコンバージョンされるので、思っても見なかった空間やスペースが生まれる時があります。
古い倉庫を住まいにするとか、開業医の古い建物を第2の人生のための住まいに再生する場合などです。住宅とは少し違ったスケールや構造の場合には、思わぬ豊かなスペースが生まれて楽しい空間が出来たりします。
リノベーションや、コンバージョンする場合には、やはり素人考えでは限界があると思います。
私たち建築家がその現場を見れば、瞬時にその建物の構造が見えてきて、こうしたらいいのでは、という大胆なアイデアが次々と思い浮び、またその空間が想像出来てしまいます。
こんないいシンクタンクをうまく利用すれば、何も建て直さなくても、リノベーションやコンバージョンで、新築よりは安くていい住空間へ再生が可能となります。