建築家が考える癒しの家づくりについて
住まいはただ生活の拠点としての家、ただ機能的な住まいだけではなく、心のよりどころとなる癒しのある家づくりであるべきだと、私たち建築家は考えます。
たとえば、中庭はプライバシーを確保する為のスペースづくりだけでなく、自然を感じられ、雨や風を感じられる外の部屋として、外部空間を家づくりに取り込むことは心の癒しとなります。
住まいのなかに中庭、坪庭などの外部スペースを確保することで空間的な広がり感もできます。そして、内部にボリュームを確保するために建物が大きく感じられます。
その作り方は塀で囲い込みむ場合や、建物の内側に中庭などの外部スペースを設けます。
また、そこに雨水利用の水盤などを設ければ、水盤からのその照り返しの効果を室内にうまく取り込めみ、その水面の「ゆらぎ」が壁面に映りだされることは、癒しとなります。
室内の延長として、また外の部屋として空間に自然を取り込むことで、空気感や気配や奥行き感が演出されてきます。これこそが、癒しの家づくりです。
市街地や都心部、また狭小地においての家づくりでは、心を癒すためには何か開放感のようなもの、抜けた空気感の感覚が必要です。都心部では広がり感とプライバシーの確保のためにもこのような外部空間の庭が必要です。
どのような敷地でもその場所がもっている特徴をうまく活かしながら、フレキシブルにつくっていけばおのずと魅力的な癒しのある空間は生まれます。
何よりも中庭の風通しの良さや、光と陰の演出効果をうまく利用することによって、季節ごとの空間の変化や空気感の演出を、住空間に取り込むことができれば魅力的です。これが癒しの家づくりとなります。
木と左官の土壁、自然素材と組み合わせもいいと思います。全てが木だとログハウスぽっくなるので、土壁の中に、床、家具、建具を無垢材とすればよく、組み合わせのバランス感覚が大切です。
土壁といっても本格的なものではなくても、少し工夫して木ゴテ仕上げなどの塗り方で工夫すれば十分に雰囲気はでてきます。
木と土壁の自然素材を使い、素材感をいかしながらの癒しの家づくりです。無垢の木に触れることで癒しの効果があり、木の香りは人をリラックスさせる効果もあります。
ヒノキや杉、赤松などの無垢の木の感触や香りはいいです。そこにさわやかな風がとおりぬけ、やわらかな光が差し込みます。
そこにいるだけで心穏やかになる癒されるスペースです。シックハウス対策として、大黒柱のある旧家の三和土の土間のある家、これらのキーワードが癒しの家づくりのテーマです。